野風

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やばいよ、やばいよ、この雨(2019/07/06)

先週金曜の断続的な豪雨によりJR高山線が土砂崩れで不通になったが、今週も凄い雨が続いている。昨晩は高山市内を流れる宮川をはじめ、いくつかの河川が警戒水域を超え、避難勧告があちこちに出された。最終的には、約1万世帯、2万数千人に及ぶ地域に避難勧告が出されたようだ。宮川沿いに上流側の石浦地区あたりから避難勧告が出始め、中心の古い町並みのあたりにも広がり、夜の11時を回ったところで下流側の私の住むエリアにも避難勧告が出た。私が住んでいるアパートは、ローカルな小川が一級河川の宮川に流れ込む三角形状の地形にあり、アパートを決める際にも不動産屋に過去に川の氾濫がなかったことを確認して決めた場所なのだ。さっさと寝ていた私は、地元消防団が消防車で避難勧告を告げて回る音や、防災アナウンスの音で目が覚め、ネットやTVのDチャネルで状況の悪化を知った。万一に備えて、登山用のザック2つにテントからバーナー、コッフェル、アルファ米など、テン泊で山に出かけるのと同じような準備をして、車に積み込めるようにしておいた。ほとんど地元出身者と思しきアパートの住人は、一向に避難する様子もなく、近隣の住宅の地元民も動く気配がない。それでも勧告が避難指示に変わったら、9キロほど離れた高台にある会社に移動してオフィスで寝ようと思っていたが、ベッドで横になっている間に寝入ってしまい、いつも起きる5時過ぎに目が覚めた。雨は小康状態になっていたので、いつものごとくシャワーを浴び、朝食を済ませて会社に向かった。近寄るべきではないのに、増水状況を見にあえて川沿いの道を走ってしまう。多少水は引いていたのだろうが、それでも普段では思いもしないレベルまで宮川は増水していた。今日は金曜日。関東や関西の家族のもとへ帰る予定の単身赴任者は気が気でない。先週から運行が止まっている名古屋方面の高山線に加え、名古屋行きの高速バスも次々と運休になっていく。関東方面は富山回りで帰ることもできるが、こちらの高山線も昨夜のうちにすでに今日の午前中の運休が決まっており、午後の便も結局すべてキャンセル。富山行きの高速バスが午後4時前の1便だけ出発するとかしないとかという状況。名古屋方面に自宅がある人は、マイカーで帰ろうと画策するも、東海北陸自動車道は2-3か所で通行止めになり、下道の国道41号線も一部通行止めに。峠越えで松本方面に出る国道158号線も、木曽福島方面に向かう道なども通行止めや土砂崩れのリスクで断念。結局ほとんどの人が高山にとどまることに。要するに高山は「陸の孤島」状態になってしまったのだ。特に帰らなければならない用事もない私は、やきもきする同僚たちを横目に、早々に高山のアパートで週末を過ごすことを決めたが、午後3時ごろから土砂降りになり、夕方になっても続いている。車で帰宅しようにも躊躇するほどの雨だ。下の写真はオフィスから土砂降りの外を撮影。ガスっているというより土砂降りで視界が効かない。

深重の海

作家の津本陽さんが無くなったとの訃報に接した。信長を描いた「下天は夢か」など、歴史ものが得意な作家だ。特にこの作家のファンというわけではない。たまたまつい最近、1978年の直木賞受賞作である「深重の海」(じんじゅうのうみ)を読んだばかりで訃報記事が目にとまった実はこの作家の本を読んだのは、この本が初めてだった。息子と本の貸し借りをしているのだが、息子は本屋大賞や直木賞などの本を良く手にする。私が滅多に手に取らない作家の本も多く、読んでみると面白くて、これまでの食わず嫌いというか、私の偏食(偏読?)ぶりを思い知らされるさて、この「深重の海」であるが、和歌山の太地の伝統的な捕鯨の世界を描いた物語である。詳しく述べるつもりはないが、何とも暗く鬱々とした気分に陥った小説である。こんな気分になったのは、野坂昭如原作でジブリで映画化された「火垂るの墓」以来だ。こちらはつい先日亡くなられた高畑勲監督の作品だ両作品ともどうしてこんな結末にならないとダメなのかと絶望的かつ暗澹たる気分にさせられる。フィクションなのか作者の体験、あるいは史実をもとにした作品なのか分からないが、あまりに悲しい物語だ。決して作品が悪いとか合わないとかいうことではない。私にとっては、二度と読むに堪えない、見るに堪えないという作品なのだ思うに、作者が後世に残したかったメッセージが凝縮された作品なのだろう。重苦しい読後感、観賞感に心を痛めて涙した人は多いのではないか。時代の語り部、紡ぎ手が、一人また一人と去っていくのが残念だ。謹んで心から哀悼の意を表したい

JR vs 国鉄

「国鉄」と言っても、若い人にはピンと来ないだろう。日本中を網羅した国有鉄道会社で、正式名称は「日本国有鉄道」だ。地元びいきの政治家の人気取り政策により、政治が国鉄経営に口を出し、どんどん延線されたあげくに多くの不採算ラインを抱えて巨大な赤字を膨らませ続けた。国民の血税が赤字補填に使われ、その赤字経営体質の立て直しを図るべく、1987年に6つのリージョナル鉄道会社と一つの貨物鉄道会社として、7つの会社に分割民営化された。これがJR各社の始まりだその後は、ドル箱路線を抱えて好調なJR東海や首都圏を抱えるJR東日本などの黒字会社と、長年の経営努力により黒字化に成功したJR九州がある一方で、相変わらず赤字が続くJR北海道やJR四国などがある民営化され経営の自由度が増え、鉄道事業だけではなく旅行事業、駅ナカ開発などにより収益性を高める努力を重ねてきた。一方で、過疎化が進む地域では、赤字路線の廃止などにより地域の足としての役割を放棄せざるを得ない状況も発生している。民間企業としては赤字事業から撤退するのは当然の経営判断であるものの、公共性の高いビジネスだけに安易な路線廃止には賛否が分かれるさて、国鉄の歴史を語りたいわけではない。高山に単身生活しているのでJRを利用して東京との間を行き来するのだが、JRになったことによる不便さを実感している。JRを利用して高山から東京へ移動するには名古屋経由(532.7km)と富山経由(481.3km)の二つのルートがある。結論的には、所要時間は4時間ちょっとで大差はなく、金額的にもほとんど差はないのぞみが頻繁に走っていることで、名古屋での高山線と東海道新幹線の乗り継ぎ時間は無駄がない。富山での高山線と北陸新幹線の接続は比較的悪く、富山駅で待ち時間がある(お土産を買ったり、寿司を少々つまむ時間として利用できるが・・)。また北陸新幹線の「かがやき」は1時間に1本しかなく、本数の多い「はくたか」を利用すると「かがやき」よりも30分ほど時間が多くかかる 1)名古屋経由(15,960円。乗り継ぎ割引で14,920円)   高山から名古屋:高山線の特急ひだ   名古屋から東京:東海道新幹線のぞみ 2)富山経由(15,830円。えきねっと早割で14,810円)   高山から富山:高山線の特急ひだ   富山から東京:北陸新幹線かがやき名古屋経由はすべてJR東海の管轄になる。新幹線と在来線の特急を接続利用すると、在来線の特急料金が約半額になる割引が適用される。繁忙期には料金が変わるが、一般的にこのルートの場合は14,920円(座席指定利用)である一方で、富山回りの場合は、高山から猪谷までがJR東海、猪谷から富山を経て長野までがJR西日本、長野から東京がJR東日本と、3つのJRの管轄に分かれ、各駅で乗務員が入れ替わる。新幹線との乗り継ぎ割引のようなものはなく、料金は15,830円である。JR東日本の「えきねっと」を利用してかがやきの早割切符をネットで予約すれば合計14,810円となる問題は切符の予約や受け取りだ。JR東海はドル箱路線を抱えてさほどの経営努力をしなくてもダントツの利益を上げており、切符のネット予約などのシステムが整備されていない。高山線を全く管轄しないJR東日本のえきねっとですら高山線の切符をネット購入できるのに、高山線の大半を保有するJR東海では新幹線しかネット予約できず、乗り継ぐ高山線の切符は窓口か券売機でしか買えないならばJR東日本のえきねっとで高山線だけ購入すればよいではないかと思われるかもしれないが、先述した乗り継ぎ割引が適用されなくなってしまう。同じ路線の同じ経路を利用するのに切符を購入するJRの会社が異なることで、割引の適用が変わってしまうもう一つ不便なのは、JR東日本のえきねっとで購入した切符の受け取りは、えきねっとの発券端末のある駅でしか受け取れないこと。東京から帰ってくるときには、東京駅で高山線のチケットを受け取れるが、高山駅ではJR東日本の発券機は1台もなく、ネットで予約購入しても受け取りができないせめて航空会社のようにネットで手配したチケットを家庭のプリンターで印刷して切符代わりに利用できるようにしてもらいたい。もっと言えば、スマホでチケットを見せればOkとかスマホをかざせばOkとか、世の中にこのような仕組みは多く存在するもっというなら、JR各社は壁を取り払って、どのJRでも切符をネット手配できるようにシステムに互換性を持たせるとか統合するなどの努力をしてほしい。分割前の国鉄なら一つの会社なので、こんなことにはならないはずだ。それとも旧態依然としていた旧国鉄体質では、ネットでの予約すらシステム対応できていなかっただろうか・・・?

荒島岳(2018/5/11)