野風

記事一覧(53)

笹本稜平の山岳小説

少し前にある本を探しに書店に出かけ、たまたま手にした本がある。笹本稜平の「分水嶺」(祥文社文庫864円)だ。興醒めになるのであらすじは書かないが、冬の東大雪山系を舞台にして絶滅したとされるオオカミを探し求める男を描いた作品だ。とにかく面白く、一気に読んだ。続いて読んだのが、「その峰の彼方」(文春文庫907円)だ。こちらは厳冬期のデナリ(アラスカにある北米最高峰マッキンリー)のカシンリッジを単独初登攀する日本人登山家を描いた作品で、こちらも引き込まれた。調べてみると、K2を舞台にした「還るべき場所」、ヒマラヤを舞台にした「未踏峰」「大岩壁」「ソロ」などの作品がある。映画で見た「春を背負って」もこの作者の作品と知り驚いた(撮影は立山三山の大汝休憩小屋だが、物語は奥秩父の梓小屋が舞台)。映画の山並みの映像は素晴らしかった一方で、ストーリーは正直つまらなかった。今回、小説を読んでみたらまったく別物のように面白かった(文春文庫637円)。山岳小説といえば中学高校の時に読んだ新田次郎の「孤高の人」、「栄光の岩壁」や井上靖の「氷壁」、数年前に読んだ夢枕獏の「神々の山嶺」(阿部寛と岡田准一で映画にもなった)などを思い起こすが、迂闊にも笹本稜平なる作家がいることをこれまで知らなかった。この作者の作品は山岳小説ばかりでなく、どちらかというと刑事ものや所轄もの、ビジネスを舞台にした謀略小説などが多いが、しばらくこの作者の山岳小説に浸りそうだ。初級レベル中心だが私も雪山に出かけるので、主人公が遭遇する雪崩などの雪山でのトラブルや低体温症などの様々な症状はとても参考になる。作者も山をやるのかどうかわからないが、雪山の描写はまさにそこにいるかのように精緻で、雪に覆われた尾根や壁の状況が目にありありと浮かぶ。単身赴任のアパートや帰省の電車の中で読むのに格好の本が見つかりワクワクしている。

息子と二人で飛騨めぐり(2018/2/10-12)

三連休を利用して長男が高山に遊びに来るという。息子も仕事が忙しく高山訪問を直前に決めたので、予定していた旅程では高山線の指定席が取れなかった。1日早めて土曜の夕方に東京を出て、夜遅くに高山に到着する便でやってきた。帰りの指定席はもちろん取れていない。列車が到着するまで高山駅で待っている間に、券売機で三連休最終日の12日の列車の空きを調べて見る。すると14:38発の列車に「残りわずか」の表示が。前後の列車は満席で、朝早い時間か夕方遅い時間しか空いていない。多分キャンセルが出たのだろう。残念ながらチケットカウンターはもう閉まっていて購入できない。念のため名古屋行きの高速バスをスマホでチェックすると、こちらは11時半発のバスに空席が一つだけあった。とりあえずというわけで、仮押さえしておく。到着した息子に聞くと電車がいいとのこと。翌朝、駅のチケットカウンターがオープンする朝の6時すぎに来ることにして、私のアパートに向かう。お腹がすいたというので、インスタントの高山ラーメンを作って食べさせる。お風呂に入るともう深夜12時。二人でさっさと寝た。翌朝、6時半前に駅に行き、チケットカウンターで14:38発を指定すると、「満席ですよ」と言いつつ調べ、「1席空いてますねぇ」と駅員も驚く。この指定席を購入してやれやれ。アパートに戻って朝ごはんにする。週末の午後5時前に高山に到着する列車はいつも込んでいる。高山発の列車はお昼前後の列車の混み具合がひどい。今回は三連休なので混雑もひとしおだ。皆さん、高山に来られる際は、早めに指定を取られることをお奨めする。ちなみに、東京からだと東海道新幹線で名古屋経由で高山に来るのと、北陸新幹線で富山経由で高山に来るのとは、時間も金額もほとんど変わらない。行きと帰りを使い分けるのも面白いと思う。さて前置きが長くなったが、10時頃から息子と高山をぶらつく。